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歯のシーラントとは?その効果や適した時期を解説
三重県松阪市の歯医者、「西川歯科医院」です。
子どもの虫歯予防では、歯のシーラントが有効です。小児歯科ではよく行われる処置なのですが、大人になってからだと見聞きする機会も少ないため、その効果や受けるタイミングがよくわからないという方も多いことでしょう。
ここではそんな歯のシーラントの特徴や効果、治療を受けるのに適した時期などを詳しく解説します。お子様の虫歯予防で歯のシーラントを検討中の方は、このコラムを参考にしてみてください。

シーラントって聞いたことある?
奥歯には、複雑に入り組んだ溝があります。
これを専門的には小窩裂溝(しょうかれっこう)と呼び、乳歯や生えたばかりの永久歯ではとりわけ深くなっているのが特徴です。歯の噛む部分に複雑な溝があると、食べかすや歯垢がたまるため、不潔になりやすいです。
乳歯や生えたばかりの永久歯が虫歯になりやすいのは、この溝の存在も深く関係しています。今回のテーマであるシーラントは、この溝を埋めて、歯の表面を平らにする処置です。
シーラントに使われる材料
シーラントに使われる材料は、コンポジットレジンとグラスアイオノマーセメントの2つに大きく分けられます。どちらも歯を削らず、表面に化学的な処置を施すだけで材料を充填できます。
コンポジットレジンは単なる歯科用プラスチックですが、グラスアイオノマーセメントは、時間をかけて徐々にフッ素を放出する「フッ素徐放性(ふっそじょほうせい)」があることから、エナメル質の成熟度を高める効果も期待できます。
シーラントによる虫歯予防効果
歯の表面にプラスチックやセメントを充填するだけで、本当に虫歯を予防できるの?
と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、シーラントは歴史の長い予防処置のひとつであり、その効果については多くの調査がなされており、4年以上で約60%の虫歯予防効果があったという結果も報告されています。
シーラントを行うタイミングっていつ?
シーラントによる虫歯予防効果を最大化させるためには、適切なタイミングで施術を受ける必要があります。ここではシーラントに適した年齢をご紹介します。
【4~5歳】乳歯列期
4~5歳になると、ほとんどの子どもで乳歯が生えそろっています。この時に乳歯の咬合面をシーラントで平らにすると、虫歯予防効果も高くなります。
【6歳】最初の永久歯が生える時期
6歳は、最初の永久歯である第一大臼歯が生えてくる時期です。6歳臼歯とも呼ばれるこの歯は、溝が深いため、シーラントで平らにするのが望ましいです。

【7~8歳】前歯が生える時期
7~8歳には、永久歯の前歯が生えてきます。前歯の裏側にも深い溝が形成されることから、虫歯予防のためにシーラントで埋めることがあります。
【9~12歳】その他の永久歯が生える時期
残りの永久歯も9~12歳にかけて生えてきます。それぞれ汚れがたまりやすい部位が認められたら、シーラントで充填します。
シーラントをする時に気を付けることは?
最後に、虫歯予防を目的に行うシーラントの注意点を解説します。
【注意点1】経年的に劣化する
シーラントによる虫歯予防の効果は、永久に持続するものではありません。
コンポジットレジンやグラスアイオノマーセメントは経年的に劣化する材料であり、外れることもあれば、その効果も徐々に薄れていきます。
ただし、定期的に充填し直すことで、適切な虫歯予防効果は維持しやすくなります。

【注意点2】適応できるのは溝の部分のみ
シーラントはあくまで歯の溝を物理的に埋める処置であることから、はじめから平らな面には適応できません。
歯と歯のすき間も虫歯リスクが高い部分ではありますが、シーラント充填は行えないのです。
【注意点3】シーラントした部分も歯磨きは必要
シーラントした部分もその他の部位と同じように歯磨きする必要があります。溝が平らになったからといって歯磨きを怠ると、結局は虫歯になってしまうのです。
【注意点4】予防であり治療ではない
シーラントは、あくまで虫歯を予防するための処置です。もうすでに虫歯があったり、シーラントをしてから虫歯になったりしたら、その効果はなくなります。
また、シーラントをしたからといって、絶対に虫歯にならないということもありませんので、毎日のケアを徹底することはもちろん、定期的な歯科検診もしっかり受けるようにしましょう。
まとめ
今回は、虫歯予防に効果があるシーラントについて解説しました。
シーラントは、歯の溝をコンポジットレジンやグラスアイオノマーセメントで平らにする予防処置です。過去の報告からもシーラントによる虫歯予防効果はかなり高いことがわかっているため、子どもの虫歯予防を徹底したい場合には、強く推奨できます。
ただし、シーラントはあくまで予防であり、充填する材料も経年的に劣化することから、予防効果を過信するのはよくありません。
シーラント充填を受けてからもセルフケアは怠らず、歯科検診も定期的に受けることで、虫歯をしっかりと予防できるようになるのです。