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睡眠時無呼吸症候群とは?マウスピースで治療できる?
三重県松阪市の歯医者、「西川歯科医院」です。
夜中に何度も目が覚める。日中に強い眠気に襲われる。
そんな症状に悩まされている場合は、睡眠時無呼吸症候群を発症しているかもしれません。睡眠時無呼吸症候群は、現代人に増えている病気で、物事に集中できなくなったり、呼吸器や循環器の障害を引き起こしたりするリスクがあるため、十分な注意が必要といえます。
今回はそんな睡眠時無呼吸症候群の特徴をはじめ、治療についてはマウスピースを用いた方法を中心に詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群って?
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、文字通り眠っている時に呼吸が止まる状態(無呼吸)を繰り返す病気です。
呼吸が止まっていることを患者様自身が気づくこともありますが、多くは自覚せずに睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や集中力の低下などに悩まされます。
その結果、自動車事故を起こしてしまう方もいます。また、睡眠時に無呼吸の状態が続くことで、高血圧症や不整脈、心筋梗塞などのリスクが上昇する点にも注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因としては、肥満、扁桃腺の肥大、舌の肥大、アレルギー性鼻炎などが挙げられます。
痩せている方でも顎が後退していたり、下顎が小さかったりすると睡眠時無呼吸症候群を発症することがあります。
睡眠時無呼吸症候群の治療法とは
睡眠時無呼吸症候群の治療法は、主に以下の5つが挙げられます。
【治療法1】生活習慣の改善
生活習慣の乱れが原因で睡眠時無呼吸症候群を発症している場合は、それらを改善する必要があります。
肥満であれば、食事量を減らしたり、運動で減量を試みたりしましょう。タバコを吸っている場合は、今日からでも禁煙に取り組むことが大切です。
飲酒も睡眠の質を低下させることから、少なくとも就寝前の4時間はお酒を飲まないようにしてください。

仰向けで眠っている場合は、横向きに眠ることで睡眠時無呼吸症候群の改善につながるケースがあります。
なぜなら仰向けでは重力の影響により、気道が塞がりやすくなっているからです。
【治療法2】経鼻的持続陽圧呼吸療法装置(nasal CPAP)
経鼻的持続陽圧呼吸療法装置とは、CPAP(シーパップ)と呼ばれる治療装置で、睡眠時無呼吸症候群の治療の第一選択となっています。
鼻マスクを介して気道へと空気圧が送り込まれることで、無呼吸の発生が防止されます。副作用はほとんどありませんが、装置が大きいことと、マスクの締め付けによる痛みや不快感、のどの渇きなどがデメリットといえるでしょう。
【治療法3】手術療法
睡眠時無呼吸症候群の手術療法としては、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)が一般的です。口蓋垂、軟口蓋、口蓋扁桃の一部を外科的に切除して、気道を広げます。
最近では医療用レーザーを使ったUPPPも普及しつつあります。
【治療法4】マウスピースによる治療
スリープスプリントと呼ばれるマウスピースを使った治療法です。詳細については後段で解説します。
【治療法5】その他の治療法
睡眠時無呼吸症候群では、その他にも鼻腔を広げるテープや呼吸を刺激する薬剤のスプレーを使ったり、低酸素を改善するための酸素療法を行ったりすることもあります。
マウスピースでも治療できる?
歯科医院では、睡眠時無呼吸症候群に対して治療用のマウスピース(スリープスプリント)を使った治療が受けられます。
スリープスプリントは、下顎の位置を前方に誘導することで、気道の閉塞を防ぐ装置で、現在は保険診療で作ることができます。マウスピース型の治療装置を装着するだけなので、上段で解説したCPAPよりも手軽に治療できます。
ただし、マウスピースを使った睡眠時無呼吸症候群の治療は、軽度から中等度の症例に適応され、重度の症例にはCPAPや手術療法が必要となりやすい点に注意しなければなりません。

マウスピース(スリープスプリント)のメリット
マウスピースを使って睡眠時無呼吸症候群を治療すると、以下に挙げるメリットが得られます。
【メリット1】心身への負担が少ない
CPAPは、大型の装置と鼻マスクが必要となり、手術療法では口蓋垂や口蓋扁桃などを外科的に切除する処置を伴います。
一方、マウスピースを使った治療では、患者様のお口にフィットする装置を装着するだけなので、心身にかかる負担が比較的少ないです。
【メリット2】即効性が高い
マウスピースによって下顎が前方に誘導されると、気道が塞がりにくくなり、その日から治療の効果を実感できることが多いです。
【メリット3】携帯しやすい
マウスピースはとても小さいので、旅行や出張の際にも難なく持ち運べます。
まとめ
今回は、睡眠時無呼吸症候群の特徴や治療法について解説しました。
眠っている時に呼吸が止まる病気で、日中の強い眠気や集中力の低下を招くだけでなく、循環器や呼吸器の疾患を引き起こすことがあるため、放置するのはよくありません。
睡眠時無呼吸症候群の治療法としてはCPAPが有名ですが、歯科医院で作るマウスピース(スリープスプリント)でも治療が可能となっています。
マウスピースによる治療は、心身への負担が少ないため、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群を患っている方は、歯科医院に相談するのが良いでしょう。